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一圓八拾銭 [雑文]

1冊の古書が手元にあります。
戦前に発行された名も無い人が残した本について書いてみようかと思います。

和田芳實 著
「石川啄木 其生涯と藝術」


この本との出会いは大学時代のことでした。
大学図書館の文献検索で見つけた時は結構驚きでした。
ただ、閲覧可能な場所ではなく書庫に入っていたため実際に手に取る事はありませんでした。

今、この本が自分の手元にあります。
と言うのも、この和田芳實と言う人は亡くなった祖父なんですよね。
祖父が趣味で芳實と言う名で短歌をやっていた事は幼少の頃になんとなく聞いていました。
でも啄木の本を出していたって知ったのは亡くなった頃だったと思います。

昨年、祖父の法事の際に叔父からこの本をもらいました。

昭和十二年二月二十五日発行
昭和十四年五月廿五日十六版
定價一圓八拾銭

実際に手に取って初めて分かった事。
当時の出版状況がどんなもんだか全く知らないけど十六版って凄い事だと思う。
啄木の没後25年とかで関連本が多数出ていたようなので今で言うブームに乗っていたのかもしれない。

序文でそのあたりの事を書いている石川正雄という人は啄木の娘婿だそうです。
ただし「著者和田芳實君といふ人は、どういふ人か知らない」とも書いてますが。

今までこの本の事を他人に話す事はほとんどありませんでした。
なぜここに書こうと思ったのかも良く分かりません。
まぁ自分の本棚にいつまでも置いてある本である事は間違いありません。

最後にもう一つ自分にとって大切な物。

祖父の形見の懐中時計。
亡くなった時にわがままを言って自分のものにした物です。
就職して一人暮らしをする事になった時の少ない手荷物の一つがこの時計でした。
詳しいことは分からないけどスイス製のもの。
時間なんか合っちゃいないけど、今でもたまにぜんまいを巻いて動かしています。

俺の頑固な性格は祖父譲り。
この性格だけは絶対に譲れないものなのかも知れません。
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